AKIRA


 アキラはいつも横に居たじゃん、いつも通りじゃん、って違う。全然違う。なんか違う。

 物凄く近いんですけどぉ――――っ!!

「あ、俺ジュース買ってくるわ」

 俺は思わず上半身を起こした。

 ダメだ、横になってらんねぇ。

 動揺隠すのでいっぱいいっぱいだよ。

「お、おう。迷子になんなよ」

「ならねぇよ」

 ダメだ、まだバクバクしてる。お、俺はまだ小学生だぞ、何考えてんだ。




――あのまま、アキラにキスしちまいたい、だなんて……おかしいよな。




「僕、いくつ欲しいんだい?」

 いきなりそう聞かれてハッとした。俺、ぼーっとしてて……。

「あ、すみません、二つください」

「はいよ、タイ焼き二つね」

 タイ焼きって、いつのまに俺こんなとこに……え、なんでタイ焼きなんか買ってんだ?!

 動揺し過ぎだろ、あれ、俺なんて言って来たっけ、ジュースだっけ、なんだっけ。

「はいよ、二つね、毎度」

「あ、ありがとう」

 くれといった手前、断る事も出来ないまま買っちまった。ま、まぁいいや……タイ焼き食いたくなったって言えばいいんだから……つか、落ち着け俺。

 もうすぐ、花火が始まる。

 早く、アキラのとこに戻らなきゃ……。



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