AKIRA


 晶が服部を交わす度にわからなくなる。お前は一体誰が好きなんだ……それとも誰も好きじゃないのか。

「ねぇねぇ陽~お昼買いに購買まで付いてきてぇ~」

 うぜ。

「うるせぇな、そんなもん一人で行けよ」

 俺はそのままの体勢で、木下に言った。でも、木下は動じずに無理やり俺の腕を持ち上げ、起こした。

「ヤダ、陽に選んで欲しいの!」

「お前、自分の食いもんくらい自分で選べよ」

「だってぇ」

 だって、じゃねえよ。

 ほら、晶が見てるじゃねぇか。俺は、晶にだけは勘違いされたくねぇってのに!

「絶対に、やだ」

「もう、陽のケチ!」

「ケチ上等」

 そう言いながら、俺はまた机に縋るように突っ伏し、寝たふりを決め込む。

「陽~……陽ってば~ねぇ起きてよ~」



 晶――……俺も服部みたいにはっきりと、好きだって言えたらいいのにな。







~ 部活始動:陽side FIN ~
< 99 / 172 >

この作品をシェア

pagetop