『いつか、また』
希望
ある病院で産声をあげたのは、粉雪が舞うバレンタインデー。

「元気な女の子が生まれましたよ!」

看護婦さんは満面の笑みを浮かべながらも、目に涙を溜めて言ってくれていた。

この時に抱かれたのは真崎家に産まれた長女、名を『あや』と名付けられた。

真崎家では待望の第一子。


沢山愛情を注ごう。
元気に笑って、時には泣いて、なんだって一緒に乗り越えよう。


そんな希望を父と母は何度も何度も交わし合った。

決して裕福な家庭とは言えない。
だけど、笑顔だけは絶えない家庭で、退院してあやを連れて帰ってきた途端、あやは近所のアイドルとも言われていた。
歳の離れた従兄弟も小さな身体で動くあやを見ては、笑みを浮かべて可愛がった。
大好きな祖母の住む街で産まれたあや。祖母の所に遊びに行くのが目的だったのも変わって、まだまだ目の離せない歳頃な従兄弟は2人兄弟で、あやに会いたいが為に電車を乗り継いで何度も何度も来ては実の妹のように可愛がった。
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