Яё:set
「お疲れ様。今日も時間ぴったりね。」
「お疲れ様です。・・・“荷物”はいつもの所で?」
部屋の中の人物は「ええ、よろしく」と言うと、鉄格子のロックが外れる音がした。
私は荷台の影からちょっと顔を出して廊下の先を伺う。
・・・なんだここは・・・?病院か?
その先には鉄格子。・・・そしてまた鉄格子・・・。
ただの病院ではない・・・まるで精神病棟だ。
扉がいくつもあり、そこには番号が書かれていた。
上部に覗き穴があったが、今それを見るのはまずい。
私は男が荷物と共に部屋へ入るのを見届けてから、静かに近くの扉の覗き穴から中を覗いた。
真っ白な空間のど真ん中に、見たこともない大きな椅子がひとつポツンとあるだけだ。
・・・あれは何に使う椅子だろう・・・?
それは歯医者の椅子を連想させる。
・・・いや、歯医者にもあんな椅子はないか・・・
他の部屋も同様で、同じような部屋がいくつもあった。