Яё:set
どの部屋にもロックがかかっていて開かない。
そして廊下は人一人おらず、この階には誰もいないのではないかとさえ思えてきた。
私はエレベーター脇の非常階段から上の階へ移動した。
微かに話し声が聞こえる。
「・・・が良くないらしい・・・って言って・・・」
「ああ・・・新薬が・・・明日“シン”に・・・」
よく聞き取れないが“新薬”という単語に嫌な予感がした。
そして“シン”という言葉が引っかかった。
確か知的障害の少年の名前も“シン”だ。
やはりここに監禁されているのか・・・?
「・・・“シン”のシステムが・・・」
「実験では・・・」
断片的に聞こえてくる単語単語をつなぎ合わせると、“シン”が何らかの実験に関与しているのは確実だと思えた。