夏の記憶
「タケル」


小声でわたしはタケルに語りかける。


タケルは何も返さない。


「ねえタケル、ここ…わたし達場違いじゃない…?」


わたしはもう一度小声でタケルに伝える。


距離があるせいか、周りの男女の会話は聞き取れないが、声はなんとなく耳に入ってくる



わたしは居心地の悪さを抑えきれなかった。


引き返そう、とタケルに伝えようとした時だった。


「優奈知ってる?」


不意にタケルがわたしのほうを見ていった。


「あそこに石碑あるだろ?あれ戦争で死んだ人のために建てられたんだぜ」


「え?」


あまりに脈絡のない話に、わたしは思わずタケルの顔を見返した。
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