夢幻-ゆめまぼろし-

「俺は、君の演奏好きだよ。
君のお父さんが弾いたノクターンより
さっきのノクターンのほうが
俺は好きだった。」


そういうと、
先輩は部屋を出て行った。


さっきの言葉が
本当なのかお世辞なのか
それは分からなかったけど
1つだけ分かったことがある。

自分の演奏を
聴いてくれる人が
いるんだってこと。

私の演奏を
父の演奏より
好んでくれる人がいるってこと。


私は結局、
1枚も写真を撮らずに
音楽室を出た。

そして、
走って自分の寮の
屋上に向かった。



屋上には
先輩の姿があった。

ただ立って
空を眺めている。

その後姿をみて
私は思わず
カメラのシャッターを
押していた。



「先輩。」


「あれ、穂乃ちゃん?
どうしたの?」


「話し聞いてもらえませんか?」


「いいけど…?」



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