Love Box:)
『その人、泣いてました。泣き疲れて、眠って…』
そう、彼に「みちる」という想い人が居ると知ったときはただただ意外で。
ふーん、かの有名な井上先輩がね。くらいにしか思わなかったけど。
(…でも、)
私の中に何かが芽生え初めていたのは事実で。
それを確信させるように再び、巡りあった。
――人気のない校舎裏で井上先輩は泣いていた。
きっとみちるを想って、泣いていた。
何故だかわからないけれど、すぐにそれは分かった。
だって泣きながら晴れた空を見上げて、とても温かい目をしていたから。
あぁ、好きな人を思ってるんだな、って。
(…綺麗、だったなぁ)
声を荒げるわけでもなく、醜く表情を歪めるんでもなく淡々と流れ落ちる涙に抵抗することはなく無表情に。
けれどその瞳は優しかった。その涙は美しかった。
陽光に反射したその煌めきは、私の隠れている木のすぐ傍まで反射して。
一瞬で恋に落ちた。
(…どうしようもなく、)
『私もその人のように、彼の幸せを願いたいって思いました。あれからずっと、ずっと、そう』
幸せそうに微笑む私を、井上さんは読み取れない表情で見つめていた。
(…馬鹿にされたかな、)
彼になら馬鹿にされたって本望だ、なんて思ってしまう私は重症だって改めて思う。