イマージョン
雑誌やパン、お弁当などには目もくれずに、お菓子のコーナーに一直線する。さっきは、しょっぱい物を食べたから、今度は甘い物にしよう。固めに練った棒状のチョコレートの中にナッツがごろごろと入っている、お菓子を3つとコーヒー牛乳を購入。何故チョコレートを3つ買ったのかと言うと、1人で食べるのが恥ずかしいから義則に、あげるつもりで買ったのだ。

「お待たせ」
私は早速チョコレートの袋を開け、食べ始める。義則は黙って見ている。
「あ、そうだ。義則も、はい」
チョコレートを手渡す。
「食べられないよ」
「どうして?おやつだよ。食べなよ」
「さっき食べたばっかじゃん。お腹いっぱいなの!」
呆れた様な感じで、大きな声で言われた。

私だって、お腹いっぱいだよ。

本当は、お弁当だって食べようと思えば食べられたのにチョコレートとコーヒー牛乳で我慢したのに。でも、お腹が苦しい。コンビニを見つけると、何か買わなくてはいけない使命感が現れてしまう。

義則に大きな声で言われたのと、お腹いっぱいなのにスニッカーズを喰らいついている事に虚しくなる。でも1度食べ出したら、もう止まらない。

どうしたら、食べなくて済むのだろうか。普通だった頃が思い出せない。
義則は私より身長が2cm位高いだけで、大して変わらない。だけどもう、義則より体重が重たいだろう。

止まらない食欲に支配されながら、頭の片隅で、その様な事を考えていた。
でも、頭の片隅で考えていた事は直ぐに消え去り気が付けば義則に、あげるつもりだったチョコレートも平らげた。
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