高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



ファミレスを出て桐生家に向かう道中の車内。前田は助手席、柿田が運転席に座る。


「やっぱり二階堂薫の弟、二階堂浩人が居ましたね。予想通りの反応でしたからね」


前田と柿田は警察手帳の提示など刑事としての証拠は、浩人らにわざと見せなかった。


普通なら証拠を見せなければ信用出来ない。それでも疑うべき世の中だ。

なのに彼等は疑問を持たなかったということは、前田と柿田が事前に刑事だと知っていた者が居るということ。


前田と柿田はサイバー犯罪対策室で仕事をしている。


表立って行動したのは今年初めに起きたカラオケ店トラブルの真相について、同期の宮根と共に二階堂薫の自宅に聞き込みして、弟の浩人に会ったぐらいだ。


これによりファミレスに居た学生集団の1人が、二階堂浩人だと本人確認するまでもなく断定出来た。


「今回の件で借り作れましたからね、宮根さんの仇を取るためにも一歩踏み出せましたよ」


「だな。これから会う桐生善三にボロが出ないよう気を引き締めろよ。根っこは太く強固だからな」


「わかってますって。誓ったんすから、油は売っても心は売らねぇって」


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