高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



一歩入ることが出来ると嘘のように足が動く。


吹っ切れたわけじゃない、たださっさと逃げたいから早足になるだけだ。

校長室に呼び出された俺は裏の昇降口から、置いてあるスリッパに履き替え向かった。


廊下で話す生徒の声は反響して耳に入るが、直接会うことはなかった。


それだけでも多少気が楽だった。


半年前までは毎日見ていた風景、校長室にはめったにというか一度も行かない方が不思議じゃない。が、俺は何度か訪れた。


マイナスな面ではなくプラスな面として。


だが半年後の今の俺は確実にマイナスな面で、校長室を訪れている。


ずらりと飾られたトロフィーが、優勝旗が視界に入ると頭痛がする。


校長室のドアの前に立つと、一呼吸してノックをするため手を挙げる。すると、話し声が自然と耳に流れてきた。


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