高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



夏休みの自由研究、遷崎は[イジメ]をテーマにしようと考えていた。

世の中からイジメをなくしたい、など善意的で夢物語が理由ではない。

ただ、単純に「いじめる側」「いじめられる側」の感情に彼は興味を抱いたのだ。

イジメがない学校を探す方が奇特なものだと思っていたため、取材を自身の学校で試みた。

大体は男子の場合は直接的=暴行、女子は間接的=陰口、所有物破壊が主であった。

遷崎のクラスは真逆、陰湿な方は男子が行っていた。

教科書やカバン、ジャージなどは破いたり絵具で無茶苦茶に落書きをする。

被害者が顔面蒼白の状態を、加害者はヘラヘラと傍観に徹していた。

そういった状況を客観的視点から細かく記載し、纏めて夏休み明けに発表した。

担任は初めて自分のクラスにイジメが存在したことを知り、緊急クラス会議を開いた。

結果、主犯格が被害者に謝罪することで一時的にだがイジメはストップした。

あくまで、一時的だ……。

新たな標的が、遷崎徹に変わった。








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