高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



「そうか」


遷崎は俺の不登校になった理由を訊くと、一言そう言って席を立った。


「矛盾してますよね、人に会うのが嫌になったのに今、俺は見ず知らずの他人の家にいる。訳わかんなくなってきた」


「それでいいんじゃねぇのか。ナオキの年齢で自分自身を理解出来たらおかしいよ、悩むのも人、矛盾するのも人だ。約束は守る、許可無しに口外はしない」


遷崎は鍵を俺の目の前に置き、携帯と財布を持って玄関に向かう。


「スペアキーだ。オレは夕食の買い出しに行く。もしこれから行動を共にするのが苦なら出ていって構わない。一応鍵だけは掛けてポストに入れておいてくれよ」


「…………」


「ま、オレは今の話訊いた限り、ナオキのこと好きだけどな。それに相棒にしたいと思ったのは、妹に雰囲気が似てるからだ」


ズルい、
優しくすんなよ、
心が欠き乱れる、
土足で
温もりを与えないでくれ


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