LOST MUSIC〜消えない残像〜
「……な、何か変ですか??」
その少女は頬を赤く染め、キョロキョロと自分の身なりを確かめ始める。
一体、どうなってるんだ……?
声も、星羅にそっくり――。
もう目眩がしそうだ。
誰もすぐに言葉を返せない。
俺だけじゃない、ここにいる者全員同じことを思ってるはずだ。
「い、いや……、何でもないよ。どうぞ入って……。」
智也がやっと声をかけたが、動揺で声が震えてる。
無理もない、俺なんか人の耳に届く声なんか出せそうにない……。
「……あっ、はい。あの、私、入部希望を出しました、錫代翠月といいます!ギターはまだ始めたばかりなんですが、よろしくお願いします。」