LOST MUSIC〜消えない残像〜


そして、その場所に帰してくれたのは、飽きるほど一緒にいるこいつらと、新しく加わった錫代だ。


ステージ裏の影の隅で、子猫のように小さくなって震える錫代……。


眩しいくらいに笑ったり、泣いたり、忙しい奴。


でも、そのくせ小さい体でいろんなもの抱えて我慢する。


まったく不思議な奴だ。


「おい、どうした?」


こういうのが苦手な俺は蹲る錫代の隣に立って、つっけんどんに問い掛ける。


「……あ、憧れのStellarと、す、ステージに立つなんて、こ、怖くて……」


もう錫代の声は半ば涙ぐんでいて、俺は小さくため息を吐いた。



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