金魚草。
「こっち向け」
「……………」
で、ですよね~…
背中向けてちゃ話に…って、あたしやっぱり対面しなきゃダメ!?
「そ、そういえば、あたし先生に呼ばれて…」
「いいから、こっち向け」
「……………」
…よし、分かった。
もうどうにも出来ないことが、今をもって分かった。
「…で、でしゃばった真似して、すみませー…」
「……あ?」
恐る恐る振り向いたあたし。
少し興味を持ってるから、顔を下げられないのが怖いこと。
「…へ?ど、どちら様…?」
あたしの目の前にいるのは…
全くと言っていいほど、チャラチャラしていない、鋭い目付きの男。
唯一チャラいと言えるのは、その金色に染まった髪だけ。
…だから、誰だ。
「悪かった」
「…へ?」
突然告げられる言葉。
あたしが…怒られるんじゃないの?
「ソイツが何かしたんだろ」
「あ、いや…まぁ、そうですけど」
「代わりに俺が謝る」
「はぁ…じゃなくて、“代わり”って!?」
「俺がソイツらの頭(ヘッド)だ。
俺にも責任はある」
「え…っと」
よく分からないんですけど…?
つまりは…
獅子のお偉いさんである自分が、責任持って謝罪すると…?
なんだ、それ。
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