根暗ストリート
根暗街道
あたしが生まれた時から敷かれていた一本道。
それが『根暗街道』

あたしに近寄ると
なんとも言い知れぬ
不安になれる。

黄泉の国へと誘うような
雰囲気を身に纏っている。




なんて…。
全くのデタラメだ。

あたしはイタコでも
霊媒師でもない。

そうやってイジメられているだけだ。

名前だって恵まれて美しい
『恵美』だ。


黄泉じゃない。


最悪だ。こんな人生。
あたしまだ十四なのに…。

死んだら『根暗街道』も行き止まりだ。


あ、この場合は
「生き止まり」かな?


我ながら上手いこと言ったかも。


でも、もう遅い。
生き止まっちゃった。


ここが黄泉の国ってところ?

何にもない。
真っ直ぐな地平線だ。


地平線って丸くなってるんじゃなかった?


あれ?地球じゃないのか。

そっか!
死後の世界だから
地球の丸さもないんだね。


でもって、どっちに行けば良いわけ?


こんな時には…。
ナビタイム!

携帯持ってきて良かったー!

目的地は…。
よ、み、の、く、に!


あれ?何ヵ所もあるよ。


『カラオケ黄泉の国』?

どこにでもあるんだねー。
カラオケ屋って。


徒歩で37時間…。


違うと思うな、これは。


疲れて歌えないよ。きっと。


『国系ラーメン黄泉の国』?

そういえばお腹空いてるな。


全力疾走90分…。


お腹を空かせてから食べろってこと?


味に自信が無いんだね。


『パチンコ黄泉の国』

あたし十四だしなー。


『性感エステ黄泉の国』

気持ち良いのかな?まだ経験ないけど…。


『リサイクルショップ黄泉の国』

え?生き返れってこと?


性感!


じゃなくて…生還!


どこ!?どこにあるの?


徒歩2分


え?2分で着ける範囲には

何もないじゃない!


どこに向かえば良いの!?


こんな地図じゃわかんないよ!


とりあえず、2分で着ける範囲を回ってみよう!


駆け出した…。
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