届かない


「山城…っ?
昨日泣いた…?」

KY男:佐藤 秀冰(サトウ シュウヒ)が言う。
秀冰は6年生の時,男子の中で唯一あたしをいじめなかった男子。
だからと言って,男子達から嫌われてた訳ではない。

「何言ってんの…?
泣いた訳ないじゃん」

あたしはウソをつく。
だって,泣いたって言ったら又泣いちゃうから…

「ウソつけ。
目,腫れてる」

「これは,えと,も,ものもらいだよ!;」

迫真の演技(?)で言う。

「んじゃぁ,保健室行くか。
いじっちゃダメだし。
眼帯貰わないとな,行くぞ」

「はぁ…!?」

秀冰にウソつくんじゃなかった…
< 61 / 119 >

この作品をシェア

pagetop