届かない



体育館裏に着くと,秀冰が「泣け」って言った。
それと同時に移動中堪えてた分の涙まででてきた。


朝学活開始のチャイムがなったけど,あたしが泣いてるので隣に居てくれた。


何も言わずに。



1時間目の開始を告げるチャイムが鳴っても,あたしが泣いてるので戻らない。

秀冰に悪いと思ってあたしは

「もう,大丈夫だから…
秀冰先に教室戻ってていいよ?
授業受けないとだし…?」


って言ったケド…

「お前の為にいるわけじゃねぇよ。
俺が居たいだけ」

って…

「でもっ」

嬉しいケド,秀冰の成績下がっちゃう…

「お前は俺に早く戻ってもらいたいのか?」

勘違いされた…?

「そうじゃなくて,悪いじゃん!」

「俺に早く戻ってもらいたいなら,早く泣きやめ」


「…ぁぃ」


こうしてあたしたちは結局3時間目の終わりらへんに教室に戻ることにして,体育館裏を後にした…


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