僕らの瞳にうつる世界。


降って来た声に、あわてて涙を拭いたあたしは立ち上がった。



「だ…、大丈夫です……っ」



彼の顔も姿もろくに見ずに、背を向けて歩き出す。

……が、立ち止まって180度体を回転させ彼と向かい合う。




「さっきの歌……」


「………」


「ステキでした……」




下に視線を向けたまま頭を軽く下げた。


そしてチラッと彼の顔を見ようとした……つもりだった。



だって、
男のくせにあまりに美しいから。



……見惚れてしまったの。

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