君の声【短編】
 
「ありがとう」

僕に微笑みを向けてくれた

胸が締め付けられるように

痛い

その痛みはただ痛いだけじゃなく

切なさとか愛しさとか

いろんな感情が混ざって

尊いものになっている

「どういたしまして」

いつもは返さないのに

つい返してしまった

男は僕を見ていた

いや
睨んでいた
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