それでもあなたに恋をする
「…え?あ、その……怒ってなんていないわ。」
「ですが…」
「本当に気にしないで。それよりありがとう、山口君のおかげで助かったわ。」
キスされて動揺している事を、知られたくなかった。
だって私は、山口君の上司なの。
気まずい空気を残したら仕事にだって影響してしまうから。
心に蓋をして、トキメキもなかった事にして、冷静な態度を装う。
「それだけ、ですか?」
「……それだけ、って?」
「ありがとうだけですか?」
そんな瞳で私を見ないで欲しい。
だって、私を助けてくれただけの事でしょう?
そこに、それ以上の感情なんて存在しないはず。
だから、気を持たせる発言はやめて欲しい。