それでもあなたに恋をする
「貴女にまともな彼氏がいなくて良かったです。」
「え?」
「さっきの男が始めから真剣に雅さんと付き合っていたら、きっと俺は敵わなかった。」
「どうして?」
「…まだまだ俺はガキですから。あんなイケメンの大人の男相手じゃ…」
そう呟やきながら、拗ねた様に下を向く。
自分から話をふってきたのに、自分で拗ねるなんて、おかしい。
でも、そんな山口君が、愛しく見えるから不思議だわ。
「そうねぇ。もしあの人と真剣に付き合っていたとしても、それでもあなたに恋していたと思う。」
「本当ですか?!」
一瞬で嬉しそうな表情に変わるのね。
仕事中の冷静な山口君とは大違い。
でも、そんな山口君を見て私も嬉しくなる。
「本当よ。――…望君。」
「下の名前ご存知だったのですか?!」
「勿論よ、まさか呼ぶ事になるとは想像していなかったけどね。」
ちょっと勇気を出して呼んでみただけなのに、そんなに反応されると恥ずかしい。
「嬉しいです。プライベートは是非そっちで呼んで下さい!!」
「///…そう、ね。努力する。」
「はい♪」
望君は満面の笑みを浮かべながら、私の頬にキスをする。
こういう愛情表現も、免疫がないから恥ずかしくなる。
私ばかりが望君のペースにのせられていて、嬉しい様な悔しい様な複雑な心境。
「そうだ、私からもお願い。」
「何でしょう?」
「その敬語、プライベートでは禁止。」
「え?!いや、突然は無理かと…」
慌てて首を横に振る望君を見て、思わず笑いそうになる。
「あら?じゃあ私だって山口君と呼ばせて貰うわよ?」
ここぞとばかりに言い返すと、
その長い腕が伸びてきて私をすっぽり包み込む。
「努力します!だから、そんな意地悪言わないで下さい!」
そう真剣に叫ぶ望君が堪らなく愛しい。
でも、
「…まだ敬語よ?」
「あぁ!でもつい癖で…」
困惑している姿も、堪らなく可愛いかもしれない。
「…徐々にでいいわ。その代わり10も歳が離れている事を感じさせないでくれる?」
本音をぽろりと伝えてみた。
「年齢の事は俺も気になります。雅さんから見れば、ただのガキだろうし。
でも、それでも、僕はあなたに恋をしてます。愛しています。」
敬語は相変わらず。
でも愛の言葉を囁く時は、どんな男よりセクシーだわ。
「私もよ、望君。」
どんなに歳が離れていても
それでもあなたに恋をする。
**end**