君に触れたくて…
秋桜の指先が、俺の手にそっと触れる。
ほんの少し当たっただけなのに、俺の手は麻痺をしたかのように動けなくなっていた。
「ありがと…ございました…」
俺は早くその場から逃げたかった。
これ以上あの場所にいたら、帰れなくなる。
俺の気持ちに歯止めが効かなくなる。
俺は梨加の手を引き、足早に学園を出た。
「ちょっと理音…!どうしたの?」
「あ…悪い」
梨加を掴んでいた手を離す。
驚いた表情で俺を見つめる梨加。
俺は梨加を抱き寄せた。
「え…ちょっと…綿菓子が…」