月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
「貴女のような元気で若い女の子が入院なんて、性に合わないわよね」

ん?

「でも、一週間もすれば慣れるわよ」

…。

察するに、あたしはヒマを持て余してると思われたらしい。

だから勢い余って支離滅裂なことを言ってしまったと、同情されてるようだ。

やばい。

すんごく恥ずかしくなってきた。

「大丈夫よ」

あたしの胸の内を察したかのように、多江さんは優しく微笑んだ。

「私も、初めは貴女と一緒だったもの」

いや、絶対にちがうでしょー!?

美人があたしみたいにスチャラカな事を口走るわけないでしょー!

あなた様が優しい言葉をかけてくれるたびに、あたしはみじめな気持ちになるのよー!!

あたしが心の中で号泣していると、多江さんの携帯が小さなメロディを奏でた。

「ちょっと御免なさい」

多江さんは携帯の画面に目を落とした。

メロディは、メールの着信音だったようだ。

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