月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
翌日。

昨日はあれから30分ほど多江さんと一緒に過ごした。

暗くなって来たので戻りましょう、と促され、互いの病室に戻った。

多江さんが向かったのは内科棟。

どうやら多江さんは病気で入院しているようだった。

何の病気で入院してるんだろう?

見た感じは至って健康そうだけど。

そんなことをアレコレ考えてる内に午前10時。

「はい旭さん、検温よ」

担当してくれている看護婦の高森さんから体温計を渡された。

あたしはそれを脇の下に挟む。

「旭さん、昨日の男の子は彼氏?」

「ほぇ?」

突然の質問に、あたしは間抜けな声で応じた。

高森さんはニコニコと笑っている。

最初会った時から人懐っこい人だと思っていたけど、その見立ては間違っていなかったらしい。

てか、昨日のドタバタを見られてたのか。

「彼氏…ですよ」

恥ずかしくてしょうがなかったが、渋々答えた。

「じゃあ、一緒にいた男の人は旭さんのお兄さん?」

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