氷女子と水男子
(ど、どうしよう…)
本気で困った氷華は珍しくおどおどした。
真正面では、多季が期待の目でこちらを見上げている。
(もうもう、なんでわたしなのよー!)
氷華は心の中で叫びをあげた。
「氷華ちゃん…」
「……~~っ!」
追い詰められた氷華の元に、救世主が現れた。
「よ。何話してん?」
「!」
「さくらちゃん!」
現れたのは、クリーム色の髪を高い位置で1つにまとめた女子。
さくらと呼ばれたその女子は、無理矢理話に入ってこようとする。
「何々~? うちにも聞かせてくれやー」
「あ、あまり知られたくないの…ごめんね。じゃ、じゃあね!」
迫られた多季は逃げるようにその場を去った。
「ふぅ…ありがと、さくら」
氷華はほっと一息つく。
「どういたしまして~。珍しく氷華が困ってんなーと思ったからさ。で、何話されたん?」
「それが…」
氷華はさくらに一通り話す。ちなみに、さくらは氷華が水斗に思いを寄せていることを知っている数少ない人間だ。
「…ふーん。中々くどい事されますなぁ。クラスの美少女はんも」
「…どうしたらいいと思う?」
「う、うちに言われてもなぁ…」
さくらはお手上げのポーズをする。