君の左のポケットで~Now&Forever~
覗き穴からそっと向こうを覗いてみる。
「きゃ!!」
ドアの向こうで、ユウ君も同じことをしていた。
心臓が飛び出るくらいびっくりした。
「お、いるんじゃん、開けてくれよ、オレだよ、ユウ。なんだよレン、きゃ!なんて女みてえな声だして」
「…レンじゃないし」
もうどうしようもない。
振り返って掛け時計を見ると、5時50分だった。
そろそろレンも帰ってくるはずだし、わたしだってもう、ヒトなんだし。
自分でも微妙な決心をして、ユウ君が覗き込むドアをおもいっきり開けた。