君の左のポケットで~Now&Forever~
肩に触れる、温かな柔らかさに、ふと目が覚めた。

目の前にマグカップ。

テーブルにうつ伏せたまま眠ってしまったわたしの肩に、白い毛布がかけられていた。

眠気の残る視界はぼやけている。


「あ、ごめん…起こしちゃったな」

「…レン?」


重い首を上げ、左を見上げると、レンの顔があった。

まだ焦点の合わないわたしの目は、レンの表情を捉えようとして揺り動く。

ようやく目が慣れたころ、レンの少し困ったような、泣き笑いのような、そんな表情を捉えることができた。


「こんなところで寝て…風邪ひくぞ」

「…レン、今帰ってきたの…?」

「うん」


ゆっくり時計を見上げてみると、4時30分を差していた。


「どこ…」


(どこに行っていたの?)


そう口にしかけて、わたしは口をつぐんだ。

何だか、聞いてはいけないような気がした。


「…遅かったね」

「ごめんな。起こして」

「ううん大丈夫。あのね」

「ん?」

「カレー作ったの」

「カレー?」

「うん。お腹空いて帰ってくるかと思って」

「そっか。さんきゅ」


レンは小さく笑って、わたしの頭を撫でた。

優しい、いたわるような、いつか見た瞳で。


「明日は大学だし、朝…って言っても、もう朝になるか…起きたら食べるな」

「…うん」







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