君の左のポケットで~Now&Forever~
時間は、ただゆっくりと過ぎていった。

12時を回っても、1時を過ぎても、レンは戻ってこなかった。


2時を過ぎるころ、わたしはそっと立ち上がった。

付けっぱなしのテレビ画面は、ちらちらとノイズが走るだけになっていた。


リモコンに手を伸ばしテレビを消すと、静けさだけが部屋を覆った。

テーブルの上のマグカップを持ち上げ、黒く揺れるコーヒーの表面を見つめる。

表情のないわたしの顔が、ゆらゆらと映っている。


いたたまれない気持ちになり、すっかり冷めたコーヒーを口に運んで自分の顔を消すと、苦い味が口の中に広がった。


「苦い…」


いつも入れてくれたレンの甘いコーヒーを思い出し、口に広がる苦味はますます舌を刺す。


「レン…苦いよ」


けれど返事は返ってこず、わたしの声だけがコーヒーの表面に反射した。


力が抜けて、再び床に腰を下ろす。

テーブルに乗せたマグカップを握り締めたまま、

わたしはいつしか、眠りに落ちていた。




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