君の左のポケットで~Now&Forever~
裁縫道具入れをあけてみた。

針は、2本。

糸は、白と赤と、青と黒。

う~ん…スカーフが水色だから、青?

でもちょっと糸だけ目立っちゃうし、やっぱり白。


針に糸を通そうと、じっと集中する。


「入らない…」


言うことをきいてくれない糸は、20分かかりでやっと通った。

難しい…。

ここで20分も使っちゃった…。


震える手で、スカーフを切って、なんとか形にして。

一生懸命、ちくちく針を通す。


「いたっ」


何回も指に針を刺した。

その度に滲む小さな丸い血。

あたしが、生きてる証拠。


めげずに糸を通した。

お手本にした雑誌のお守りの写真を見ながら、ひたすら。


レンのタンスや机の引き出しをあさって、

壊れたキーホルダーから取れた小さい鈴を見つけて、

何だろう? パーカーの紐かな? わからないけど調度いい紐も見つけて。


3センチ×5センチくらいのお守り袋…っぽい、出来上がったものにくっつけて。

そこまでで、1時間半。

すごい、わたし、頑張った。


ちょっと不恰好だけれど、出来上がった小さなお守りを目の前にかざして眺めた。


「うん。それっぽい」


糸があちこちからはみ出してるけど…一生懸命作った。





レン、こんなのでごめんね。


ココロでつぶやいて。


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