君の左のポケットで~Now&Forever~
わたしはただ、待っていればいい。

「ただいま」って、レンが帰ってくるのを。

「おかえり」って、言ってあげれるレンが帰ってくるのを。


いつものように洗濯をして掃除をして、

雨降りだからお布団は干せないけれど、

「ちゃんと」待っていれば、それでいい。



重い頭と身体を持ち上げて、いつものことを、いつもどおりにこなす。

それでも時間は酷くゆっくりと過ぎて、わたしの不安を煽る。



夕方をなんとか通り越すと、隙間なく振り続けていた雨も弱く窓を伝うだけになっていた。


額を窓に押し付けて、下の通りを見下ろす。

水溜りが街灯に照らされて、降り落ちる雨にぽつぽつと模様をつくり微かに揺れている。

人通りも少なく、静か過ぎる夕暮れの雨。


レンを待つ部屋の中の灯りだけが、わたしの居場所を作っている。


わたしは、部屋の灯りが漏れてしまわないように、

レンとわたしのこの部屋の、灯りが外に溶け出してしまわないように、

カーテンを握り締め、黒く染まりつつある夜を遮断した。




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