君の左のポケットで~Now&Forever~
「ナナちゃん…少し寝たほうがいい。送っていくから…」



朝日に照らされたユウ君の顔は涙の跡が残っていて、

わたしよりもきっともっと疲れているはずだった。


疲れているというよりも、もっと深い、思いつめた色で覆われている。



「あたし…ここにいる」

「気持ちはわかる。でも休んだほうがいい」

「でも」

「とにかく一旦戻って、それから後で来よう。俺も一緒に来るから」

「……」

「な? ナナちゃん」



わたしは振り返り、レンを見た。

青白い頬は、朝日に照らされて少しだけ赤みがかって見える。

けれどやっぱり動くことのないレンは、

傍に添えられえた機械の中でだけ、か弱い鼓動を刻んでいる。



「レン…」



泣きはらした目は、レンの輪郭もぼやけさせて白んでいた。


そっと、レンの頬に触れた。

温かかった。

レンは…まだ、生きている。

動かないけれど、ちゃんと、生きている。



「ナナちゃん」



ユウ君に肩を抱かれ、わたしはレンの髪に触れてから、病室を後にした。



< 267 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop