Dear my Dr.
約束の日。

時間になっても迎えに来ない。

時間、といっても、悠ちゃんはいつも5分前行動だから、まだあと5分ある。

落ち着かなくて、リビングと玄関を行ったり来たり。

「悠哉くん来ないわねぇ…」

お母さんの言葉がむなしい。

もしかしたら…

来ないつもりなのかもしれない。

今日は、わざわざ仕事を休んだ。

役所の開いてる時間に、ちゃんと2人で出しに行こうって。

なのに…

どうして…?

時計はもう、約束の時間を過ぎてしまっている。



その時。

玄関のチャイムが鳴る。

約束の時間を30分過ぎたところ。

「ほんっとにゴメン!緊急オペに入ってて、それがもう、なんていうかっ…難しいところのやつでっ…結局コイルエンボリしてたら、遅くなった!」

必死の形相の悠ちゃん。

何がどうなってたのか分からないけど、とにかく必死で手術してた、のかな?

ホッとして気が緩む。

「え?美波?」

へなへなとしゃがみこんでしまった。
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