Dear my Dr.
「美波、怖がりすぎだって」

「だって怖いもん!?さっきちょっと振ってたし!!」

「振ってないってば」

「あーもー絶対ウソ!」

なんだかんだ言って、結局、悠ちゃんの手の平のなかで“ポン”と音がしただけだった。

ほらね、って悠ちゃんが言う。

信じらんない。

私が怖がるの予想してて、わざとああいうことするんだもん。

意外と、イタズラ好き?

立ち上って行く泡が、グラスの中でキラキラと光る。

「では、」

「では?」

「おつかれさまでした」

「おつかれさまでしたー」

チンと小さく音を鳴らして乾杯。

“おつかれさま”って、やっぱり悠ちゃんも一仕事終えた感じに思ってるのね。

同じ気持ち。

「…おいしい!幸せー」

「幸せ?よかった」

だってさ、眼下に広がる夜景を見ながら、シャンパンで乾杯とか。

夢の世界じゃない?

私なんて、ちょーっとばかりお嬢様だけれど、こんなのは初めて。

この演出はニクイ。

「疲れた?」

「疲れたよー。顔が痛いもん。作り笑顔しすぎて」

「ははっ、そうだなー」


< 31 / 120 >

この作品をシェア

pagetop