そして僕は恋に墜ちた
7.
小さな窓から入る月明りの中、浅い眠りを繰り返しながら、気分の悪さに僕は目を覚ました。


理由は分かっている。


大悪魔から言い渡された仕事どころか、最近は殆ど仕事をしていない。

僕たち悪魔は、人間の魂が『入れ物』から抜け出る時に生じる、ほんの僅かな力を食べて生きている。
だから、真面目に仕事をしていれば、僕という存在が、永遠に消える事は無いのだ。



『…そろそろ、仕事しなきゃな』

自分で呟いた一言が、どちらの『仕事』を意味するのか、僕自身分からなかった。



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