そして僕は恋に墜ちた
僕はいつもの様に、屋上へと向かった。
だが、今日は珍しくアリスの姿は無い。

その代わりに、少年が一人、佇んでいるのが見えた。暗い目をした、中学生くらいの少年だ。

この屋上は、死を意識した人間の溜まり場か?
確かに、回りのビルの中では、一番高い造りにはなっているが…

僕はもう一度、アリスがいない事を確認してから、屋上へと向かった。




『ねぇ、君死ぬの?』

屋上の回りを囲う、高いフェンスの上に腰を下ろすと、僕は少年に声をかけた。
誰も居ないと思っていた少年は、僕の声に驚き辺りを見回す。


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