どうしょうもねぇくれぇ、好き。
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「ひゃあ~…綺麗!!」
キラキラと瞳を輝かせる瑞季。
「見て見て、渉!」
「見てるって。」
俺の背中を容赦なくバシバシと叩いてくる瑞季を軽く睨みながら、瑞季が見ている景色に目を向ける。
「嫌な事全部、消してくれそうだな。」
「……本当だね。」
瑞季が俺の肩にコトンと頭を置く。
その上に俺の頭を置く。
「私、海ってこんなに綺麗なものなんて知らなかったなぁ…。」
ボソッと一人言のように呟く瑞季の声を無言で耳に入れる。
波の音が気持ちぃぃ。
ざざん、ざざん。
一定のリズムで揺れる海。
「よし、次行くか。」
「うん。」
俺が椅子から腰を上げると瑞季が鞄を持って笑顔を向けてくる。
その笑顔に答えるように、俺も笑顔で瑞季を見て。
「楽しい旅行になりそうだな。」
瑞季の手をとって、沖縄の海を後にした。