スパイ・ハイスクール
暫くして、奏達が配置についたかどうかを私の能力で確認する。
大きく深呼吸をして、目を閉じて。
暗闇は見にくいから嫌いだが、神経を集中させなんとか確認する。
ぼやぼやとした映像が、次第にはっきりと脳裏に映し出されていく。どうやら3人は所定の位置についたようだ。
奏は北に。
真希は西に。
純希は南に。
(......ん?)
「棗、どう?」
「えっとねー。多分準備は出来たんだと思うけど......」
「けど?」
徳佐が不思議そうに聞き返す。
「北、西、南には3人が配置してるんだけど、東には人が居ない。これでいいわけ?ここを中心に3方向に散らばったほうが良くない?」
「確かに、そうだけど......。まぁこの作戦自体奏が考えたものだし、何か考えがあって東側を空けてるんでしょ。棗とは違うんだから大丈夫」
「ふーん、そか。............ねぇ、今なんつった?何か聞き捨てなら無いようなことを言われた気がするんだけど」
「気のせいなんじゃない?ほら、山口さん行っちゃうよ。接近開始!」