龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
「いいの?」

「うん。ただ一つだけ僕の頼みを聞いてくれないか?」

「なぁに?」

「隣のクラスに僕の従弟がいるだろう? あいつをメンバーに入れてくれ」

「羽竜悟くん? 話した事ないけど」

「さっき電話で頼んでおいたから大丈夫。承諾してくれたよ。明日、向こうから話しかけてくるさ」


不思議そうな顔。

まあ、僕の前の恋人が悟の兄貴に奪われた事を考えれば無理もない。


「圭吾さんはそれでいいの?」

「むしろそうしてほしい。悟の事は信用してる。僕の代わりに志鶴の面倒を見てくれるだろう」

「わたし、子供じゃないのよ」

「そう?」

無邪気で、臆病

まるっきり子供じゃないか。

「志鶴って泳げるんだっけ?」

「あんまり」

「頼むから悟を連れて行って、留守番をする僕を安心させてくれ」
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