龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
第二十一話 だから僕と
「け、圭吾さん、お、お仕事終わった?」


終わったけど……


僕はグスグスと鼻を鳴らしながら泣いている志鶴を見て、居間の入口で固まった。


「マンガを読んでいたのよ」

姉の彩名が苦笑混じりに説明する。


――ああ、なんだ


僕は頭を振って気を取り直すと、ソファに座る志鶴の前に立った。
確かにサイドテーブルの上には、少女マンガらしき物が10冊ほど積み上がっていた。
友達から借りて来たのだという。


「もう泣かないで。目の回りが真っ赤だよ」

僕はティッシュを取って志鶴の涙を押さえるように拭いた。

「ほら、鼻をかんで」

「失礼ね。鼻水なんて出てないわよ」

「うん。涙と他の何かだろうけど、鼻をかんで」


志鶴は不満そうに口を尖らせながらも鼻をかんだ。

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