龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
志鶴は跳ねるような足どりでついて来る。

『その部屋着のままでいいの?』

って言葉が喉まで出かかったが、構うもんか。


どうせ僕しかいないんだから。


我が家の連中は、みんな僕と志鶴がうまくいく事を願っている。

祈っているって言った方がいいかもしれない。

だから、志鶴のこんな格好を見てもきっと眉ひとつ動かさない。

ああ、それにしても志鶴ときたらこっちの胸が痛くなるほど僕を信頼しきってる。

狼に声をかけられた赤ずきんだってもう少し警戒心を持っていただろう。


三階まで階段を上り、僕の部屋のドアを開けた。


お入り 僕の赤ずきん
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