龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
「圭吾さん」

志鶴は満面の笑みを浮かべて僕を出迎えた。

僕は身を屈めてそっと志鶴の頬にキスをする。

「驚いた。すごく綺麗だよ」


志鶴は頬を染めて

「あのね、花嫁さんに失礼にならない程度でめいっぱい綺麗になりたかったの」


僕のために


そうなんだね?



この佳き日に

もう誰も僕を憐れんだりはしないだろう


さようなら 優月

僕の初恋の人

司と幸せになるがいい



「このまま床の間に飾っておきたいくらいだな」

「いやよ、結構苦しいんだから。帰ったら脱ぐの手伝ってね」

志鶴は無邪気すぎて、どんなすごいことを言ってるのか気づいてないらしい。

「喜んで手伝わせてもらうよ」

僕は笑いをこらえて答えた




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