龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
やっと式が終わって、僕は披露宴会場に向かった。


姉の彩名と一緒に志鶴が来ているはずだ。


水色のサテンのドレスを着た彩名はすぐに見つかった。

親戚達に囲まれている。

志鶴はどこだ?


その時

僕に背を向けて立っていた着物姿の女性が振り返った


志鶴だ


濃紅(こいくれない)の艶やかな振袖

銀糸の帯はまるで蝶のよう

長い黒髪はきれいに編み込んである


志鶴は普段よりずっと大人びて美しく見えた
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