龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
竜田川美月は僕の元恋人、優月の妹だ。

 
志鶴に優月とのことを話したことはないが、どうせ周りの誰かから聞いているだろう。


「上級生の集まりに参加するなんて珍しいね。志鶴とはあんまり仲が良くなかったんじゃない?」


「最近そうでもない。学食でわたし達がこの話をしていたら、仲間に入れてくれって粘られて。闘龍の話をしたいんじゃないかな」


志鶴と美月はこの地域の伝統競技『闘龍』の競技者だ。

ずっと闘龍の話をしててくれればいいけど。


美月は、優月と付き合っていた高校生の頃から志鶴がうちに来るまでの僕の不品行をよく知っている。


しかも何の悪気もなく暴露しそうだ。


志鶴には知られたくない。


優月にベタ惚れだったことも

フラれて自棄になって酒浸りになった日々も

寂しくて取っ替え引っ替え女と付き合ったことも

復讐心に駆られて従兄の司を冷遇し続けたことも


羽竜本家の冷たい当主ではなく、志鶴だけの『優しい圭吾さん』として見ていてもらいたい。


どうすりゃいいんだ?


いまさら志鶴に行くなとも言えない。


自業自得という言葉が胸をよぎった。

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