片恋★パンドラボックス
「とうちゃーく!」



「お疲れでーす!」



「しっかし、あっちぃなー。」



「夏だもん。しょうがないよ。」



自転車のスタンドを立て、額の汗を拭うおにーちゃん。



その隣ではガザゴソとカバンの中に手を突っ込み、家の鍵を探すあたし。



「んー…あれ?」



「まだー?」



「おっかしーなー?」



「あ~…もういい。俺が開ける。」



「よろしく。」



渋々カバンからキーケースを出し、ドアを開け、「あ"ぁ"ー疲れたー!!」と、んーっと背伸びするおにーちゃんに付いて玄関に入ったあたしは、おにーちゃんの革靴の隣に脱いだローファーを並べると、おにーちゃんの後を追うように小走りでリビングへと向かった。

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