片恋★パンドラボックス
不服なんてあるわけない。



あたしの気持ちも何もかも気づいてて、こんな最低なあたしに愛想を尽かすどころか受け入れてくれる優斗には感謝してもしきれない。



「じゃ、HRも始まってることだし…よし。教室に帰ろっか。」



「ん。」



ベンチから立ち上がったあたしは、手を差し出してくる優斗の手に自らのそれを重ね、ギュッと握りしめた。



「えっ!?」



「ん?」



瞬間、意外だと言わんばかりに大きく目を見開く優斗。



自分から差し出しといて、その態度はないでしょ…って思ったけど、それは…まぁ、当然といえば当然。



でも…。



フッと小さく笑みを零したあたしは、自分より20センチ近く高い優斗を見上げながら、何事もなかったかのようにニンマリと笑みを浮かべた。

< 77 / 205 >

この作品をシェア

pagetop