竜を狩る者
峡谷を抜けても切り立った岩山は続く。

ニーズヘッグは、この人間を拒むかのような山岳地帯に生息していた。

『嘲笑する虐殺者』の異名をもち、死者の血を啜る、終末の日に翼に死者を乗せて飛翔するといわれる黒き龍。

具体的な情報がないのは、ニーズヘッグの目撃証言が少ない為。

…討伐に出かけた者は、皆帰ってこないからだ。

故にニーズヘッグは、この大陸最強の竜種として狩猟者の間で語り継がれている。

(最強の竜種、結構じゃないか)

歩きながら心の中でローゼンは呟く。

犠牲者を増やし、その悪名を轟かせるほどいい。

そいつを仕留めた時、ローゼンの名はこの大陸に刻み込まれる事になる。

最強の黒き竜を討ち取った最強の狩猟者。

剣を志す者として、戦いの中に生きる者として。

ローゼンは最強である事にこだわった。

理由などない。

孤高のまま、誰よりも高みを目指す。

ローゼンはそういう男だった。

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