竜を狩る者
赤眼の二人と双頭の竜
アンフィスバエナは双頭の竜種。

だから双剣が有利。

誰とも知らない狩猟者が、大衆酒場でそんな事を言っていた。

ただの戯言かもしれない。

酔っ払いの思い付きかもしれない。

だが、まだ弟を失ったばかりの沢田 瑞樹は疑う事なくそれを信じた。

嘘だろうが何だろうが、一度信じ込むとそのまま突っ切って前進していく。

頭で考えるより先に、口や手足が勝手に動いてしまう。

そんな性格ゆえに、彼女は愚直なまでに双剣の修行を続けた。

まだ痛む左眼を眼帯の下に隠して、ひたすらに、ひたむきに剣を振るった。

全ては弟の仇、竜種アンフィスバエナ討伐の為に。

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