誠ノ桜 -桜の下で-
「はぁ…総司、大丈夫…?」
正面にしゃがむ沖田を覗き込み、心配そうに
眉を下げた。
「………俺は大丈夫」
でも、と沖田は凜の頬に手を添える。
「凜ちゃんは、大丈夫そうじゃない」
言葉に詰まる凜の背に腕を回し、そっと抱き
締めた。
「君は女の子なんだから、もうそんな無茶はし
ないで。……でも、心配掛けてごめん」
凜は一筋だけ涙を流して、沖田の腕の中で意
識を手放した。
池田屋は、静寂に包まれていた。